活動報告106回 
 
森とすまいの学校 第1期 第三講座
特別講座「住まいの温熱環境を考える」
〜温熱・省エネを自分のモノにしよう

日 時

2025年10 月25 日(土)

場 所

(株)evoltz2階会議室

講師

住まいと環境社 代表 野池政宏さん

参加者

参加者:25 名

 省エネ基準への適合義務化とともに、実務で温熱環境へ取り組む場面が多くなり、住まい手の断熱や省エネルギー性能に対する関心が高まっています。今回は住まいと環境社代表の野池さんを講師にお迎えし、温熱環境・省エネ・パッシブデザインの理解を深め、年間を通じて快適な住まいを自信を持ってわかりやすく提案する力を身に付けるべく、お話を伺いました。
 
講座の内容は「快適で健康的な熱環境概論」「日射影響の基礎理解」「暖冷房計画(アクティブ)と熱環境」「窓がつくる光・視環境」「省エネルギー」「設計フロー」の6項目を順に追って解説。
 
大事なポイントとして
・適切な室温(概ね21℃)、室内の表面温度が室温に近い事、適切な湿度(冬30%以上、夏70%以下)、身体に当たる気流速度は小さく。
・パッシブ効果が大きい建物にするほど健康的な熱環境に近づく。
・地域、敷地の条件を考えて最適解を見つける。
・日射遮蔽は付属部品で行うのが原則。(軒だけでは日射遮蔽は難しい)
・日射熱利用暖房を設計するには日照シミュレーションが不可欠(設定は120日頃を推奨)
・土壁という熱容量(蓄熱性能)が大きいものでも、10%程度の暖房負荷低減効果。断熱材の熱容量の影響は小さいと考える(ただし、自然素材の断熱材は内部結露のリスクが少ない)
・十分な窓の日射遮蔽は「日射熱取得率ηw値を0.1(10%)にする」
・全館連続の冷暖房は快適・健康には有利だが、省エネには不利という理解が重要。よりパッシブのレベルをあげる必要がある。
UA値はG2レベル、C値は1.0/m2、窓の熱貫流率≦1.7W/(㎡・K5地域以南
・窓の室内側の付属部材としてハニカムスクリーンはおすすめ。
・太陽光発電の計画は、目標とする省エネ性能(一次エネ)が大事。
 
普段設計業務を行う者にとって、重要な項目毎に根本的な考え方と明確は数値での解説があったので、次の日から使える貴重な講義となりました。元高校の物理教師でもある野池さんらしく「自分のモノにするなら明日テキストを読み返して!」と最後纏められていました。
 
講座後は番匠さんに移動して懇親会を開催。野池さんを囲んで楽しい時間を過ごしました。軒を出し、時には土壁を使って設計する面々から、省エネにおいてその良さを伝えるにはどうすればいいのか?野池さんに食い下がる質問も出たりして。 
 

作成者:岸井紀