活動報告104回 
 
森とすまいの学校 第1期 第一講座
「真壁造りの住まいづくり1」
〜実施図面を通じ実務を学ぼう〜

日 時

2025年6 月14 日(土)

場 所

有限会社 番匠 設計室

講師

有限会社 番匠代表 眞瀬悦邦さん

参加者

参加者:16 名

30年ほど前から大工職人による手刻みと自然乾燥させた地産材を用い、山と職人と使い手を繋ぐ住まいづくりに取り組む自社設計施工の(有)番匠。その代表であり森とすまいの会メンバーでもある、眞瀬悦邦さんに省エネ気運の高まりの中、昔から変わらない土塗り竹小舞壁の真壁造りの住まいづくりの取り組み方や、改めて気候風土に根差した建築の在り方について伺いました。
 無垢の木を使いながら年月に耐えうる住まいづくりの実務は、平面、断面設計から基礎のコンクリートの配合にまで及ぶ内容した。そして、そのつくり手としての真摯な姿勢も、住まい手に届くと良いなと思うものでした。

その中でも印象に残った話をまとめておきます。
 
●設計(計画、木材の架構)について
・設計段階で施工図を兼ねる意識をもって図面を描きたい。
・断面計画は、構造計画を最初に行った上で、梁の断面寸法を確認したものを矩計に反映する。
・歩留まりや市場の定尺寸法を考慮した寸法の決定をする。そのために設計者と施工者(製材も含めて)のコミュニケーションが大事。
・真壁(特に厚貫構造の土壁)の場合、貫を極力連続させるため開口部、HD金物の位置、取付け方法や柱背割り方向は設計段階で検討しておく。
・外部は10年以降に劣化が進む。今までの経験や現場での結果を活かして屋根勾配や軒の形状を綿密に計画して、雨や風から外壁・窓が劣化しない家にする。
・形は「綺麗」でないといけないが、現場で職人が困らない様に合理的に収めるのも大切。
・ヒントになるのは現場。いい仕事をするために実践で学ぶ!が大事。
・ちなみに職人さんから現場で「よく考えてあるね!」の声があると、しめしめと思う。
・自ら木拾いをすると理解が深まるので設計者におすすめしたい。
 
●基礎について
・基礎の上部構造が100年であれば基礎の寿命も100年にしたい。
・供用限界100年のスランプ15㎝(55%)を採用。※スランプ18㎝(60%)は供用限界65年
・長期優良住宅等は設計段階で性能は満たされているが、施工も大事。表面養生に必要な水分確保、50㎜の高周波バイブレーターの使用、土間の金ゴテで押さえ、打継ぎのレイタンス除去等。これらも実践で学んだ。
 
講座後のお茶会では、みなさんお互いの紹介や、仕事内容、昨今の業界について等の会話に花が咲き、1時間程ではありましたが楽しい一時が過ごせました。