第52回住まいづくりサロン
「受け継がれる住まいと暮らし」〜古民家再生の試み〜
日 時 :2009年6月21日(日) 10:30〜12:00
場 所 :浜松市東区大瀬 M邸
出席者 :大人15人・子供2人 11家族



 住宅産業は私が物心つく頃からずっと、持ち家、新築住宅の建設を奨励して、景気対策の要だったように思います。作っては壊し、まだローンの支払いも終わっていない、住める家を建て替える様な事が行われてきました。しかし、昨年から200年住宅なんていう言葉が提唱されて、「長期優良住宅」という政策がいきなり出てきました。構造や耐震性、性能のことが主に取りざたされていますが、実際住宅の新築の設計を依頼されて伺うお宅はどこも、早く建て替えないと危ないようなことはほとんどありません。ただ、家族の構成が変化したり、ものが増えすぎたりと住宅の問題よりも生活の変化が建て替えを推し進めてきたように思います。
 電化製品や車、パソコン、携帯電話とめまぐるしく社会が変化していくなか、これからの生活を考えるとこれ以上それほど変わるように感じないのは私だけでは無いと思います。最近はむしろ、生活の便利さを追求するよりは、別の意味での暮らしの豊かさを考える人が増えてきているように感じます。今回のような古い民家を生かしていこうという考え方も、とても豊かな感性に裏打ちされていると思います。
 ものは人が使うものですから、使う人の意識が変われば、長持ちするもの、すぐに壊されてしまうものの運命は決定されます。この民家が残されるという事は、そこに残したいと思わせる何らかの魅力がこの建物に有るからだと思います。
 今回の改修にあたって、その残されるに足るこの建物の存在価値をいかに現代から未来につなぐことができるかが問われるように感じています。
 新築工事では考えられない苦労も多々有りますが、伝統的な技術や工夫と向き合ってこれからの豊かな空間にしていきたいと思います。 (青島)

〈感想カードの紹介〉

  1. 環境の良さ、敷地の広さに恵まれているのがまず感じたこと。補修家屋についてはどこまで補修するか予算と所有者の考えなどよく折り合いをつけられて、円満に完成されますように!
  2. 昔の家の良さと今の家の良さをどう組み入れていくのか楽しみです。
  3. 再生が楽しみですね。何よりも古い家を生かして住み続けて行きたい。後に残していきたいと思われた施主さんのお考えが素晴らしいと思います。アフターを楽しみにしています。